新那須温泉供給温泉基礎講座 − 殺生石

殺生石の謎 〜歴史かくれ話〜

那須温泉神社近くに殺生石と呼ばれる名勝がある。 岩ばかりがごろごろ集まったその空間には、周辺部を除いて緑が全くない。 ここにまつわる物語に「九尾の狐伝説」というものがある。
七世紀。遣唐使とともに唐の国から一人の美女が来た。 鳥羽天皇のころ、美女は「玉露の前」という名で呼ばれ、 帝に僻みを受けながら優美な毎日を送っていた。 元永二年のある夏の夜、祝いの席で玉露の前はついにその正体を現す。 中国やインドで愚行の限りをつくし、国を滅亡へ追い込む妖怪狐で、 尾が九本に分かれ、魔力を使い、変幻自在で人々をたぶらかしてきたというもの。
追われた九尾の狐は那須野ヶ原に隠れ住み、人里に出ては悪事を重ねていたが、 やがて追手に見つかり、矢に打たれて息絶える。が、 しかし、死してなおその姿を毒石に変え、近づく人々や獣、鳥、草木までも、猛毒を放って殺し続けた。
伝説で言われる石の毒気。現代では硫化水素と呼ばれるが、 殺生石に緑がないのも実はこのガスの働きによるものなのである。
九尾の狐